自動車に関する税金が、2026年度から大きく変わります。(令和8年度税制改正大綱の概要) | 愛知県自動車販売店協会(略称:愛自販)

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自動車に関する税金が、2026年度から大きく変わります。(令和8年度税制改正大綱の概要)

自動車に関する税金が、2026年度から大きく変わります。(令和8年度税制改正大綱の概要)
2025年12月に決定された「令和8年度税制改正大綱」では、自動車ユーザーにとって衝撃的な方針が打ち出されました。その目玉は、自動車購入時に課せられる「環境性能割」の2年間凍結(事実上の廃止)です。米国による関税引き上げなどの国際情勢や、国内消費の冷え込みに対応するため、政府は異例の「大幅減税」による市場活性化へと舵を切りました。 一方で、これまで優遇されてきた電気自動車(EV)への課税のあり方についても、根本的な見直し方針が示されています。本記事では、私たちの生活や社会基盤に直結する「車体課税」の変更ポイントを詳しく解説します。
目 次

自動車税「環境性能割」の廃止

今回の改正で最大の注目点は、購入時に燃費性能に応じて0〜3%課税されていた「環境性能割」が、令和8年3月31日をもって廃止されることです。
これにより、ガソリン車を含むほぼすべての新車・中古車について、購入時の税負担が数万円単位で軽減されます。
長年、消費税との「二重課税」として批判されてきた項目でもあり、国内の自動車需要を強力に下支えするための極めて異例な措置といえます。

エコカー減税(重量税)の延長と「基準の引き上げ」

車検時などに支払う「自動車重量税」の軽減措置(エコカー減税)は、令和10年(2028年)4月末まで2年間延長されます。
ただし、単なる延長ではなく、減税を受けるためのハードルが引き上げられる点に注意が必要です。
・燃費基準の厳格化: 令和8年5月以降、免税や軽減の対象となる燃費達成度の基準が段階的に引き上げられます。これにより、現行制度で減税対象だった車種でも、基準に届かず次回の車検から増税(減税幅の縮小)となるケースが出てきます。
・EV等の「2回目免税」は維持: 電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)などは、新車登録時と1回目の車検時の「免税」が継続されます。

電気自動車(EV)・PHEVへの「特例加算」導入へ

カーボンニュートラルを推進しつつも、税収の公平性を保つための新たな仕組みが盛り込まれました。
・新制度の導入:令和10年(2028年)5月1日以降の車検から、EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)に対し、重量税に一定額を上乗せする「特例加算」が導入される方針です。
・理由: EVはガソリン車より車体が重く道路への負荷が大きいこと、またガソリン税を負担していないことのバランスを考慮した「走行段階での負担」の先駆け的な措置とされています。

自動車税の「グリーン化特例延長とEV新課税方式

毎年支払う自動車税・軽自動車税(種別割)については、短期的な優遇と、将来的な抜本見直しの双方が示されました。
① グリーン化特例の2年間延長
EVやFCVなどの購入翌年度の税率を軽減する「グリーン化特例」は、令和8・9年度の2年間延長されます。
② EVへの「車両重量」課税の導入(令和10年〜)
これまで一律で「1,000cc以下のガソリン車相当(最も安い区分)」とされてきたEVの自動車税について、以下の抜本的な見直し方針が示されました。
対象:令和10年(2028年)以降に新車新規登録されるEV
新方式: 排気量の代わりに、「車両重量」に応じた課税方式を導入します。
税率設定: 令和9年度の税制改正で詳細を決定しますが、「EV以外の自動車(ガソリン車等)の現行税率と同程度」の負担を求める方針です。
狙い: EVの普及が進む中、重量の重いEVが道路に与える負荷に見合った、公平な負担を求める仕組みへとシフトします。

軽油引取税の「当分の間税率」廃止

長年の課題であったガソリン税等における「当分の間税率(旧・暫定税率)」についても大きな動きがありました。令和8年4月に軽油引取税の特例税率を廃止する方針が盛り込まれ、複雑化した税体系の整理に向けた一歩を踏み出しています。

まとめ

税目主な変更内容適用時期(予定)
環境性能割(取得時)2年間の全面凍結(非課税化)令和8年4月〜
自動車重量税(車検時)エコカー減税を2年延長(基準は厳格化)令和8年5月〜
EV・PV重量税「特別加算(実質増税)」の導入方針令和10年5月〜
自動車税(EV)「車両重量」による新課税方式へ令和10年登録〜
経由引取税「当分の間減税」の廃止令和8年4月〜

今回の令和8年度税制改正は、「購入時のハードルを下げ、保有や使用に伴う負担を公平化する」という、車体課税の構造改革に向けた大きな一歩となりました。
短期的に見れば、環境性能割の凍結によって、2026年4月以降はガソリン車を含めた多くの車種が「今より安く買える」期間が到来します。
しかしその一方で、自動車重量税の「特例加算」の導入や、自動車税の「車両重量」による新課税方式の導入など、将来的なEVへの課税強化も検討されています。
これまで長らく続いてきた「環境に良い車=税金が安い」という単純な公式から、「道路を利用する分、公平に負担を分かち合う」という新機軸への移行を予感させます。
私たちは今、単なる減税の恩恵を受けるだけでなく、次世代のモビリティ社会を維持するために、車を「所有し、走らせる」ことのコストをどう再定義していくのかという、新たな議論の入り口に立っています。この税制の変化は、車と社会の新しい関係性を考える重要な契機となるにちがいありません。